発行日 2014年3月1日
Published Date 2014/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2014159115
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54歳女。腹部違和感と体重減少があるも放置していた。今回、健康診断で右胸水貯留を指摘され著者らの施設へ受診、腹部CTで腹水を伴う巨大な卵巣腫瘍の疑いで入院となった。所見では臍周囲から恥骨付近まで圧痛のない硬い腫瘤が触知されたほか、軽度の炎症反応、CA125の高値がみられ、胸水からclass Vの腺癌が認められた。一方、上部消化管造影では胃体上~中部大彎側の壁不整と狭窄、上部消化管内視鏡では胃体中部大彎前壁寄りに辺縁不整の3型胃癌(低分化型腺癌)が認められた。また、MRI(矢状面)では骨盤内にT1WIで子宮と同等の低信号、T2WIで高信号と低信号が不均一に混在する20×17×12cmの充実性腫瘍が確認された。以上より、本症例は胃および卵巣の組織所見より胃癌+癌性胸膜炎+Krukenberg腫瘍と診断された。そこで、S-1+CDDP療法を行なったところ、1クール終了後に胃原発巣の縮小傾向がみられたが、胸水と卵巣転移巣はSDであった。以後、1ヵ月経過でS-1+CPF11療法に変更した結果、右胸水は消失し、呼吸状態も改善した。一方、腫瘍は増大がみられたため、10ヵ月後よりweekly TXL療法が行われたが、患者はDIC状態となり、化学療法の継続は不能で治療開始から32ヵ月目にに死亡となった。
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