発行日 2009年8月1日
Published Date 2009/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2009328910
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
65歳男。患者は肛門部痛を主訴とした。初診時、4時方向を中心に腫瘍の肛門外への脱出が認められ、大腸内視鏡では肛門管から下部直腸の左側寄りに約1/2周の2'型の腫瘍がみられた。生検では低分化型扁平上皮癌であったが、腹部CTでは直腸肛門部の壁肥厚、近傍に著明なリンパ節腫大が認められた。また、両側鼠径リンパ節腫大も認められた。以上より、本症例は直腸肛門癌と診断され、両側鼠径リンパ節を含む側方郭清を伴う腹会陰式直腸切除術が施行された。その結果、病理組織学的所見では主として紡錘形、一部多角形の腫瘍細胞が充実性に増殖していた。更に核小体は明瞭で、分裂像が多発していた。尚、肛門原発の悪性黒色腫が考えられたが、免疫染色ではS-100蛋白染色、HMG-45染色ともに陽性であった。術後は問題なく経過し、患者は術後第29病日目に退院となった。
©Nankodo Co., Ltd., 2009