発行日 2009年8月1日
Published Date 2009/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2009328911
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72歳女。患者は全身倦怠感を主訴とした。近医で肝機能異常およびC型肝炎を指摘後、肝硬変に対して加療中であったが、血液検査で血中α-フェトプロテイン(AFP)値の上昇が認められ、CTでは肝S3に単発する径2cmの腫瘍性病変が描出され、肝細胞癌(HCC)と診断された。治療として左肝動脈から経カテーテル的肝動脈塞栓術が行われるも、治療効果は不十分で経皮的ethanol注入療法(PEI)が追加された。その結果、AFP値は低下したが、4年経過でAFP値が再上昇し、肝S3表面にHCCが再発した。腫瘍はPEIの穿刺経路に一致し、腫瘍血管はすべて右内胸動脈から分枝していることから、PEIによりインプランテーションした病巣と考えられた。塞栓術が施行されるも、治療効果は不十分で腫瘍摘出術を施行したところ、病理所見は中~高分化型腺癌細胞で、術後の経過は良好であった。
©Nankodo Co., Ltd., 2009