発行日 2008年3月1日
Published Date 2008/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2008149000
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
64歳男。下痢を主訴とした。便潜血陽性で、大腸内視鏡検査にて下部直腸に約8mm大の黒色扁平隆起を認め、内視鏡反転観察で肛門直腸輪付近に黒色の小点状色素沈着を認めた。扁平隆起の生検を行い、直腸肛門部悪性黒色腫の診断で、腹会陰式直腸切断術+D2(側方郭清施行)を施行した。切除標本ではRbに8mm大の黒色で表面不整な亜有茎性病変を認めた。また内視鏡で認めた肛門管よりの斑状色素沈着が、歯状線からHerrmann線の間に確認された。大腸癌取扱い規約に準じた肉眼所見はRb、0型、I sp、SM、P0、H0、M(-)、N(-)、D2、OW(-)、AW(-)、EW(-)、stage I、CurAであった。病理組織所見で腫瘍性病変は粘膜下層に浸潤しており、メラニン顆粒を有する紡錘形の腫瘍細胞を認めた。免疫組織学的染色にてHMB-45、S-100蛋白陽性で、有色素性悪性黒色腫と診断した。肛門管付近の斑状色素沈着は異型度の強いmelanoma cellが少量認められ、転移、進展と考えられた。術後化学療法の施行なく良好な経過を辿り、術後約1年半経過現在、再発、転移徴候は認められない。
©Nankodo Co., Ltd., 2008