発行日 2004年5月1日
Published Date 2004/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2004211683
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61歳女.右乳房腫瘤を主訴とした.右乳房B-D領域のしこりを自覚し,穿刺吸引細胞診にてclassV adenocarcinomaと診断された.入院時,同部位に軽度の皮膚の引きつれと可動性良好の硬い腫瘤を触知し,マンモグラフィー所見では右B-D領域に多形性で辺縁微細分葉状の腫瘤を認め,腫瘍背部には多形性の石灰化像が集簇して存在した.T1強調造影MRIでは一部にスピクラ様の変化があり,早期から辺縁が濃染される腫瘍を認めたが,明らかな胸筋や皮膚への浸潤はなかった.乳癌(T2,N0,M0,stageIIa)と診断し,胸筋温存乳房切除術および腋窩リンパ節郭清を施行した.病理組織学的に細胞質には微細顆粒状,好酸性の胞体が存在し,ジアスターゼで消化されるPAS染色陽性の顆粒が豊富であった.また,ER,PgRは陰性で,細胞質の管腔内への断頭分泌がみられ,アポクリン癌と診断した.術後経過は良好で,現在も無再発生存中である
©Nankodo Co., Ltd., 2004