発行日 2009年8月1日
Published Date 2009/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2009328905
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27歳女。患者は左下腹痛おび不正性器出血を主訴とした。X線では小腸ニボーと拡張像が認められ、CTでは小腸壁の造影効果が強く、小腸内溶液の貯留も著明で、腸炎によるイレウスと考えられた。また、鎮痛薬の効果が持続しない腹痛と高度の炎症所見から急性腹症と考え、緊急手術が施行された。だが、腹腔鏡下の観察では黄白色の粘稠な膿が腹腔全体に認められ、腸管穿孔による腹水とは明らかに異なる印象であった。一方、胃、十二指腸、胆嚢、虫垂、両側卵巣等に明らかな異常はなく、小腸、大腸に穿孔を疑わせる部位は認めなかった。婦人科的感染症による腹膜炎と考え、腹水を採取し、更に腹腔内を洗浄し、ドレーンを留置して手術を終了したところ、腹水培養では淋菌DNAが検出され、本症例は淋菌性汎発性腹膜炎と診断された。以後、抗生物質を投与して、術後9日目に患者は軽快退院となったが、検索した限り淋菌性汎発性腹膜炎の報告は4例しかなく、これまで腹腔鏡下に観察したという報告はなかった。
©Nankodo Co., Ltd., 2009