発行日 2009年7月1日
Published Date 2009/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2009246581
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79歳男。腹痛と腹部膨満感が出現し、腹部造影CTで下行結腸に壁肥厚像を認め、その口側腸管は拡張していた。明らかなリンパ節腫大や肺・肝転移は認めなかったが、脾臓下極に10mmの低吸収域が存在した。下行結腸癌の診断で手術を施行し、腫瘍は下行結腸のSD junction近くに硬く触知し、小腸に浸潤していた。横行結腸中央からS状結腸まで切除すると共に、浸潤小腸も合併切除して横行結腸-S状結腸吻合、小腸-小腸吻合を行った。脾臓下極には15mm大の結節があり、術中迅速診で癌細胞を認めたため、脾臓転移と考えて摘出術を追加した。切除標本で下行結腸の腫瘍は80×70mmで、組織型はwell differentiated adenocarcinomaであった。脾臓の結節にも同様の癌細胞を認め、同時性孤立性脾転移と診断した。術後経過は良好であったが、stage IVの下行結腸癌であり、第15病日よりCPT-11とS-1併用の化学療法を開始した。術後5ヵ月経過して再発はない。
©Nankodo Co., Ltd., 2009