発行日 2015年5月1日
Published Date 2015/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2015265083
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85歳男性。2年2ヵ月前に上行結腸癌に対して右結腸切除術を施行、他院で外来通院中であったが、今回、1ヵ月前よりCEAの上昇、PET-CTでの脾臓集積により孤立性脾転移と診断され、手術目的で著者の外科へ入院となった。所見では腹部造影CTで脾門部に周囲増強効果のある内部低濃度を呈する腫瘍が認められたほか、FDG-PETでは左上腹部に限局した集積がみられた。以上、これらの所見を踏まえて、本症例は上行結腸癌術後の弧発性脾臓転移の診断にて初回手術から2年2ヵ月目に脾臓摘出術された。術中所見では他臓器への転移、腹膜播種は認められなかったものの、脾門部を中心に2.8×2.5cmの白色、充実性の境界明瞭な腫瘤みられた。一方、病理組織学的所見では脾臓の腫瘍は腺管状構造の増殖を呈する腺癌像で、既往の上行結腸癌の組織と比較して転移として矛盾のないものであった。以後、脾臓摘出を行なったところ、速やかにCEAは正常化し、無再発で他院での外来通院をしていたが、脾摘出より2年5ヵ月目に患者は他病死した。
©Nankodo Co., Ltd., 2015