発行日 2011年7月1日
Published Date 2011/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2011292665
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80歳女。5ヵ月前より便秘を繰り返し、下血が出現したため受診した。大腸内視鏡で上行結腸に2型腫瘍を認め、CTで他臓器およびリンパ節転移はなく、上行結腸癌の診断で腹腔鏡補助下右結腸切除、D3郭清を行った。術後補助化学療法としてtegarfur/uracilを行ったが、術後1年1ヵ月の腹部CTで肝S6に径1cmの腫瘤があり、ラジオ波焼灼術(RFA)を施行した。その1年1ヵ月後に腫瘍マーカーが急増し、CTおよび超音波で肝S3、S4、S6、S8の多発転移と脾門部に腫瘤を認めた。2ヵ月間の経過観察で新たな転移巣がないことを確認し、脾摘除術と胆嚢摘出術、肝転移巣に対するRFAを施行した。病理所見で脾腫瘤は大腸癌の転移と診断された。その後fluorouracilの肝動注化学療法を行ったが、胆管炎を併発したため動注リザーバを抜去し、次いでS-1投与を計5クール行った。しかし、腹部CTで大動脈周囲リンパ節転移、CEAの上昇を認めたため中止とし、irinotecanで治療を継続したが、病状は進行して脾摘除術後2年4ヵ月に死亡した。
©Nankodo Co., Ltd., 2011