発行日 2009年7月1日
Published Date 2009/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2009246582
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64歳男。韓国農村地帯の旅行歴があった。今回、腹部膨満感と便秘の後に下痢、粘血便が出現した。注腸造影でS状結腸に全周性狭窄像を認め、腹部造影CTでは直腸の全周性壁肥厚を、肝に低吸収域を多数認めた。直腸粘膜組織および粘血便の鏡検でアメーバ虫体が検出され、肝膿瘍を伴う赤痢アメーバ性大腸炎と診断しmetronidazole 1500mg/日内服を開始した。注腸造影で認めた狭窄病変の精査目的で行った大腸内視鏡では、直腸S状部よりS状結腸にかけて底部平滑で浮腫状周堤形成を伴う潰瘍を認めた。その後、急激な腹痛を来たし、CTでfree airを認め、消化管穿孔と考え開腹術を施行した。S状結腸から上部直腸に3ヶ所の穿孔部を認め、病変部を含めてS状結腸・上部直腸を切除し、人工肛門造設、腹腔洗浄ドレナージ術を施行した。穿孔部の病理組織像では固有筋層の断裂を伴う深掘れ様潰瘍を呈し、炎症性細胞の浸潤を認めた。術後metronidazole投与を継続し、右大腿動脈閉塞症、MRSA腸炎、膀胱腹壁瘻を併発したが血腫除去術および保存的加療で軽快し、術後74日に退院した。
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