発行日 2009年7月1日
Published Date 2009/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2009246579
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53歳女。下血が出現し、上部消化管内視鏡で上十二指腸角から2~3cm肛門側の十二指腸乳頭反対側に、径4cmの中心陥凹を持った粘膜下腫瘍を認めた。陥凹部を6ヶ所生検したが診断できなかった。腹部CTでは低吸収域の腫瘤で、MRIではT1・T2強調像で高信号、T2脂肪抑制像で低信号を示した。超音波内視鏡、血管造影所見と併せ、脂肪腫の可能性が強いが悪性を完全には否定できないため手術を施行した。腫瘍の十二指腸壁付着部を確認し、5mm以上のマージンで局所切除した。欠損部が大きく、十二指腸乳頭も近かったため単純縫合閉鎖を断念し、空腸有茎粘膜パッチ術を施行した。Treitz靱帯から30cm肛門側の空腸を腸間膜と共に切離し、7cmの有茎空腸を結腸後に挙上し、肛門側は直動静脈のみ処理して5cmの犠牲腸管を作成した。挙上した腸管の両端と腸間膜対側を切開し、Gambee一層結節縫合を行った。空腸は機能的端々吻合で再建した。腫瘍は40×35×30cmで、病理診断は脂肪腫であった。術後19日目に退院し、術後5ヵ月経過の内視鏡で修復に問題はなかった。
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