発行日 2009年1月1日
Published Date 2009/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2009099208
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症例1(79歳男性)。腹痛を主訴とした。注腸造影でS状結腸に全周性狭窄像を認め、大腸癌イレウスと考えられた。緊急手術を行ったところ、病理組織所見では腫瘍は中分化腺癌であり、その口側に変性壊死、出血、糜爛を伴うU1-IV潰瘍が認められ、閉塞性大腸炎穿孔と診断された。術後、患者は経口摂取開始で誤嚥性肺炎を併発し、手術から40日目に死亡となった。症例2(78歳女性)。腹痛と嘔吐を主訴とした。5日間排便がなく、画像所見で左側結腸に糞便貯留と憩室が認められ、その口側結腸の著明な拡張を認めた。保存的治療を開始するも、高度の炎症反応を認めたため、腹膜炎を疑って緊急手術を施行、横行結腸に黒色の偽膜を伴う糜爛、縦走潰瘍を認め、病理組織学的所見で粘膜の脱落壊死と粘膜下層を主体とする炎症細胞浸潤、小血管内に血栓を認め、強い虚血性変化が示唆された。患者は以後、手術より37日目に軽快退院となった。
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