発行日 2013年5月1日
Published Date 2013/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2013269704
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79歳女。便通異常を主訴とした。X線で心胸郭比48%、超音波検査で大動脈弁は三尖で石灰化が著明であり、いずれもII度の大動脈弁閉鎖不全、僧帽弁閉鎖不全、三尖弁閉鎖不全を認めた。下部消化管内視鏡検査で肛門縁から40cmのS状結腸にBormann 1型の全周性の腫瘤性病変を認め、内視鏡の通過は不可能で、採取した組織の病理組織検査で腺癌(中分化型tub2)と診断された。注腸造影検査ではS状結腸にapple core signを認めた。心臓手術を優先することとし、胸骨上部部分小切開による生体弁を用いた大動脈弁置換術を行い、同時に横行結腸を用いた双孔式人工肛門造設術も行った。ICU滞在期間は3日で、合併症なく経過し、術前不良であった栄養状態も改善して術後9日に退院となった。再入院の上で術後21日に腹腔鏡補助下S状結腸切除術(D1リンパ節郭清術)と人工肛門閉鎖術を行い、術後15日(心臓手術後40日)に軽快退院し、術後1年現在も経過は順調である。
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