発行日 2008年12月1日
Published Date 2008/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2009067969
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70歳代男性。患者は下腹部痛と嘔吐の出現で受診となり、X線で二ボー像を認め、イレウスの診断で入院となった。CTでは少量の腹水、小腸の軽度拡張と壁肥厚および浮腫、S状結腸間膜近傍に小腸間膜の集簇と8の字様に存在する浮腫状の小腸塊が認められた。内ヘルニア嵌頓と診断され、イレウス管を挿入し保存的加療が行なわれたが、X線上の二ボー像は消失せず、第5病日目のCTでも入院時同様の所見が確認された。そこで、第6病日目に鏡視下で手術を行なった結果、S状結腸間膜左側の間膜欠損部に小腸が嵌頓していたが、小腸は壁肥厚と浮腫のため鉗子での把持は損傷の可能性が高く、嵌頓した小腸の間膜背側に鉗子を入れて嵌頓解除を試みたが不能であり、ヘルニア門のS状結腸間膜欠損部に2cmの切開を加えることで嵌頓は容易に解除された。この嵌頓していた小腸は4cmで、色調は良好であったため切除はせず、ヘルニア門を縫合閉鎖した。以後、経過良好で、患者は第12病日目に退院となった。
©Nankodo Co., Ltd., 2008