発行日 2013年7月1日
Published Date 2013/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2013367595
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75歳男。2ヵ月半前にEpstein-Barrウイルス関連胃癌に対し開腹胃全摘術を受け、Roux-en-Y法と後結腸経路で再建された(T1b、N0、Stage IA)。今回、腹痛と嘔吐が出現し、腹部造影CTで多量の腹水と小腸拡張を認めた。イレウスの診断で保存的治療を行い、症状の増悪はなかったが、肝胆道系酵素やアミラーゼ値の上昇を認めた。CTで腹水量に変化はなかったものの左胸水が出現し、十二指腸と輸入脚が著明に拡張していた。自覚症状の増悪はなかったが、輸入脚閉塞の診断で開腹手術を行い、術中、挙上空腸が横行結腸間膜を貫く部分が離開し、食道空腸吻合部より約300cmに及ぶ小腸が頭側へ脱出していた。Y吻合も持ち上げられ横行結腸間膜の間隙に引っ掛かり、壊死しかけていた。ヘルニアを解除後、手術操作で生じた輸入脚の穿孔部を含めてY吻合部をT字型に切除した。横行結腸間膜の離開部は頭側、尾側より縫合閉鎖した。術後創部感染を生じたが、以後は経過良好で退院した。
©Nankodo Co., Ltd., 2013