発行日 2012年10月1日
Published Date 2012/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2012371432
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症例1は80歳女性で、以前より胃の調子が悪かったが吐き気と共に胃液が逆流した。腹部単純X線でニボーを伴う小腸ガス像が多量に認められた。血圧180/68mmHg、脈拍68回/分・整、眼瞼結膜・眼球結膜に貧血、黄疸はなく、腹部は全体的に膨満、軽い圧痛を有したが腹膜刺激症状はなかった。血液検査で白血球数が上昇、腹部単純X線で異常ガスにより拡張した小腸が右上腹部から腹部中央に観察され、腸管壁肥厚がみられ、腹部CTで横行結腸は背側下方に圧排され、横行結腸走行面を上方に越える回腸末端部が認められたため横行結腸間膜裂孔ヘルニア嵌頓を疑い緊急手術した。ヘルニア門は結節縫合により閉鎖した。症例2は76歳女性で、腹痛が出現し、下血もきたしたため受診した。保存的に加療したが腹痛が軽快しないため、緊急搬送された。腹部はやや膨満、全体的に圧痛が認められたが、腹膜刺激症状はみられなかった。白血球が著明に上昇、腹部単純X線で左上腹部に拡張血管がみられたが異常ガス像は認めず、腹部CTで小腸拡張と共に十二指腸右側に虚血に陥った腸管のループがみられた。癒着による小腸の絞扼の診断で緊急手術した。上腹部正中切開で開腹するとMorrison窩付近で肝結腸間膜を通して虚血腸管が観察された。横行結腸間膜の中結腸動脈右側に裂孔が観察された。術後経過は良好で第13日目に軽快退院した。
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