発行日 2008年4月1日
Published Date 2008/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2008167414
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48歳女。1992年に右乳癌に対し胸筋合併右乳房切除術の既往があり、病理所見は2.5×2cmの充実腺管癌、T2N2M0、StageIIIAであった。11年後に胸部不快感を自覚し、上部消化管内視鏡検査で胃角部に粘膜下腫瘍を認めた。腫瘍マーカーはNCC-ST-439が高値を示した。CTでは、右肺中葉と左肺上葉に斑状陰影、左肺最上部に1cm大のスリガラス状陰影と数個の肺結節陰影を認め、転移性腫瘍を疑った。上部消化管内視鏡検査では、正常粘膜に覆われた径3cm大の粘膜下腫瘍を認め、ボーリングバイオプシーにより病理学的には中分化腺癌で組織像は乳癌に似ていた。Tc-HMDPシンチグラフィーにより、胸骨、腰椎の4番と5番、左肩関節、左第11肋骨に転移性腫瘍を疑う集積像を認めた。また、通院中の左眼の飛蚊症の主訴に対する眼底検査で脈絡膜隆起性病変を認め、蛍光眼底造影検査では隆起性病変に一致して過蛍光像を認めた。以上の結果から、右乳癌術後胃転移、多発肺転移、多発骨転移、左脈絡膜転移と診断した。goserelinとtomaxifenによる内分泌療法を開始すると、自覚症状は軽快しNCC-ST-439も低下傾向を示したが、1年後に再上昇したためtomaxifenをanastrozoleに変更した。その後、NCC-ST-439は低下し2年間無増悪であった。
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