発行日 2007年2月1日
Published Date 2007/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2007114061
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68歳女、胸部異常陰影を主訴とした。右乳房AC領域の紡錘細胞癌に対して右乳房切断術を受け、術後CMF療法(cyclophosphamide+methotrexate+fluorouracil)を11クール施行した。その後、左肺S10の腫瘤に対して左下葉部分切除を受け、乳癌の肺転移と診断した。さらに、右肺S7にも腫瘤影が出現し再入院した。CTにて右肺S7に3×2cm大の腫瘤影を認め、内部均一で辺縁は比較的明瞭であり、左肺S10の腫瘤影と似ていた。手術所見では腫瘍は上肺底静脈と下肺底静脈に浸潤し、下葉部分切除を行った。病理組織像は右乳腺腫瘍は多形性を示す紡錘細胞の肉腫様増殖が主体で、島状をなして腺癌の浸潤巣が混在していた。左肺S10腫瘍は中分化腺癌の転移巣で間質に線維増生を伴っていたが異型性はなかった。右肺S7の腫瘍は肉腫様成分と腺癌成分が混在移行していた。術後、心窩部不快感が生じ、上部消化管内視鏡にて胃に白色ポリープを2個認め、生検にて乳腺紡錘細胞癌の肉腫様成分からなる胃転移と診断した。その後、骨転移と肝転移も生じ、初回術後3年7ヵ月、悪液質のため死亡した。
©Nankodo Co., Ltd., 2007