発行日 2008年3月1日
Published Date 2008/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2008148996
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78歳男。便秘、下腹部痛、排尿障害、血尿を主訴に受診し、触診にて下腹部に腫瘤を触知した。腹部単純X線で小骨盤腔のガスレス像を認め、腹部造影CTでは骨盤腔に辺縁整、境界明瞭、一部造影効果を有する腫瘤を認めた。また、腸管を腹側に圧排していた。MRIでは骨盤腔に楕円形状、辺縁整、境界明瞭な腫瘤を認め、T1強調画像では低信号が主体で内部に一部高信号を呈し、T2強調画像では低信号が主体であるが、やや高信号の部分と2層構造を呈した。注腸検査で上部直腸の圧排像を認め、点滴静脈腎盂造影検査では左右尿管に圧排に伴う腎盂の拡張を認めた。針生検の結果、solitary fibrous tumor(SFT)が最も考えられるとの診断で、腫瘍摘出術を施行した。摘出標本所見にて腫瘍は14×9×7cm大で、割面は黄白色、大小の結節により構成され、血性成分を含む嚢胞状組織と壊死部が混在していた。病理組織所見にてpatternless patternの配列を認め、免疫組織学的染色ではCD34陽性であった。以上より後腹膜原発のSFTと診断した。術後経過は良好で、1年経過現在、再発は認められない。
©Nankodo Co., Ltd., 2008