発行日 2008年3月1日
Published Date 2008/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2008148997
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44歳男。腹痛を主訴とした。腹部CTを施行したところ小腸の走行異常を認め、虫垂炎手術の既往があったことから癒着性亜イレウスの疑いで入院となった。絶食、補液にて症状軽快を得て退院となったが、退院後6日目に再度腹痛の増強がみられ、再入院となった。症状は翌日には軽快した。腹部CTで胃小彎側に空腸係蹄の集塊像と、前回同様小腸の走行異常を認めたが、明らかなイレウス像は認めなかった。小腸造影では胃背側から小彎側にかけて小腸の集塊像を認めたが、狭窄や腫瘤を認めず癒着による一時的な通過障害と診断された。その後外来にて経過観察中も頻繁に腹痛発作を認め、大阪市立大学病院にて傍十二指腸ヘルニアの診断を受け、当院でヘルニア内容の整復とヘルニア門の閉鎖手術を行った。手術所見にて下垂した胃と膵との間にヘルニア内容の小腸を認めた。Treitz靱帯の空腸起始部に約3cmのヘルニア門を認め、約20cmの空腸が嵌入していた。小腸の虚血性変化は認めなかった。術後、胃内容の排泄遅延に対し、絶食とし胃管を留置して保存的に加療した。その後の経過は良好で、第51病日に退院となった。
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