発行日 2011年2月1日
Published Date 2011/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2011126061
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38歳男。左下腹部の疼痛が出現・増強し、血液検査、腹部MRIで感染性腹部腫瘤と限局性腹膜炎を疑われ、抗生物質投与で症状改善した後、精査目的で当院受診した。腹部CTで左腎下極レベルから尾側にφ97mm大の類円形、境界明瞭、内部ほぼ均一な低吸収を示す嚢胞性腫瘤を認め、腫瘤被膜は造影効果を示し、内部に充実成分はなかった。腹部MRIではT1強調画像で低信号、T2強調画像で高信号の嚢胞性腫瘤を認め、前医MRIでみられた周囲の液体は消失していた。逆行性腎盂尿管造影で、尿管内に異常所見はなかった。内部に感染を合併した後腹膜腫瘍と診断して摘出術を施行し、切除標本は単房性で壁の厚い嚢胞性病変で、大きさ11×10×7cm、内部に淡黄色漿液を有していた。病理組織所見は主嚢胞内面に扁平な一層の上皮の被覆があり、嚢胞壁内には発達したリンパ組織、リンパ濾胞を認めた。免疫染色でリンパ管内皮の特徴を示し、後腹膜リンパ管腫と診断した。術後経過良好で9日目に退院し、その後再発はない。
©Nankodo Co., Ltd., 2011