発行日 2008年3月1日
Published Date 2008/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2008148995
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35歳女。妊娠21週ごろより左下肢腫脹と疼痛を自覚した。下肢静脈エコー検査所見より深部静脈血栓症の診断で、入院時検査所見よりアンチトロンビンIII(AT III)欠乏症が判明した。入院後(妊娠22週)よりheparinおよびAT III製剤補充による抗凝固療法を開始し、妊娠37週に一時留置型下大静脈フィルター留置を施行、妊娠37週5日にheparinを中止し経腟出産した。産褥1日目の骨盤造影CTで右総腸骨静脈内に血栓を認め、heparin持続静注を再開し、warfarin内服を開始した。産褥7日目の下大静脈造影所見にてフィルター直下にまで右腸骨静脈内の血栓の進展を認め、heparinを増量したが、産褥10日目には血栓内にフィルターの先端が埋没し、永久留置型下大静脈フィルターへの交換が必要と判断した。フィルター交換の際には、新たな一時留置型下大静脈フィルターを近位下大静脈に追加挿入し、前回留置した遠位のフィルターを抜去した。引き続き永久留置型フィルターを挿入し、追加挿入したフィルターも抜去した。交換の手技中やその後に肺塞栓症の発症はなく、現在外来にてwarfarin内服を継続中である。
©Nankodo Co., Ltd., 2008