発行日 2007年9月1日
Published Date 2007/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2008008493
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症例1(73歳男性)。S状結腸癌・転移性肝癌に対するS状結腸切除術、肝S4,5部分切除術後6日より発熱、水様性下痢が出現した。症例2(63歳男性)。直腸癌に対する低位前方切除術後翌日より、発熱と水様性下痢が出現した。両症例とも輸液管理を行なったが、意識障害、呼吸不全が出現し、ICUにて人工呼吸管理となった。便・血液培養にてMRSAが検出され、MRSA腸炎およびMRSA敗血症と診断、VCMの経管投与および全身投与を追加した。また、いずれの症例もARDSとDICを合併し、カテコラミン、sivelastat sodium hydrate、gabexate mesilateを投与し、症例2では吻合部縫合不全、汎発性腹膜炎を呈し、腹腔内ドレナージ術と人工肛門造設術が行なわれた。術後13~14日より下痢、発熱、全身状態は改善傾向を示し、それぞれ術後37日、59日にICUを退室した。今回の2例はほぼ同時期に続けてMRSA腸炎を発症したが、感染経路と菌株は異なっていた。だが、紹介・転科・手術等で病棟などを移動する患者が多い施設では、院内のみならず、個々の患者のMRSAサーベイランスと周術期対策が必要であると考えられた。
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