門脈ガス血症を伴った穿孔性虫垂炎の1例

82歳男性。患者は腹痛および腹部膨満感を主訴に近医を受診、腸閉塞を指摘され、精査加療目的に著者らの施設へ紹介入院となった。所見では炎症反応の著明な上昇がみられ、あわせて軽度の腎機能障害、更に腹部X線では拡張した小腸ガス像がみられた。腹部CTにて門脈ガス血症を伴う汎発性腹膜炎と診断され、緊急開腹手術を行なったところ、手術所見では急性虫垂炎穿孔による汎発性腹膜炎とそれに伴う麻痺性イレウス、門脈ガス血症が確認された。処置として虫垂切除術と腹腔ドレナージ術を施行した結果、病理組織所見では虫垂に壊死と穿孔を認め、術後、創部感染、し開を認めたが、洗浄およびデブリドマン、再縫合にて軽快し、患者は第39病日目に退院となった。