発行日 2007年11月1日
Published Date 2007/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2008042665
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73歳男。胸部異常陰影を主訴とした。2年前より脳幹梗塞後遺症のためメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)保菌状態で誤嚥性肺炎を繰り返していた。胸部CTでは左上葉S3~S4に2cm大の結節性病変を認め、腫瘍近傍の肺野は淡い濃度上昇域が散在していた。気管支鏡下生検から腺癌と判明したため胸腔鏡補助下(VATS)肺部分切除術を施行し、肺切除断端を吸収性ポリグリコール酸フェルトにて被覆し、術当日より抗生物質を連日点滴した。術後7日目で抗生物質を中止したが、10日目よりMRSAによる膿胸を発症したため局所麻酔下VATSにて胸水と胸膜癒着組織のみを可及的に除去し、胸腔ドレーンを2本留置した。術直後より胸腔洗浄とteicoplanin点滴治療を施行した結果、洗浄開始7日目以降胸水培養は陰性化し、初回手術から56日目に退院した。術後2年経過現在、肺癌、膿胸ともに再発徴候は認めていない。
©Nankodo Co., Ltd., 2007