発行日 2006年9月1日
Published Date 2006/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2006321777
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8歳女.患者は消火器の上に転倒して腹部を打撲し,約6時間後に嘔吐,上腹部痛が出現した.腹部単純X線ではFree airやイレウス像は認められなかったものの,CTでは十二指腸の著明な拡張と,内腔に低濃度域と高濃度域が認められた.更に受傷後5日目の上部消化管透視所見では,十二指腸second portionは広範囲にわたり狭窄がみられたが,かろうじて遠位側への通過は認められた.以上,これらの所見より十二指腸壁内血腫と診断し,腹膜炎の症状がないことから保存的治療を行った.受傷後11日目から胃管の排液は減少したが,12日目の上部消化管内視鏡では十二指腸second portionの粘膜は潰瘍や糜爛はない一方,強い浮腫による狭窄がみられた.しかし,翌13日目の上部消化管透視所見では,十二指腸の狭窄は著明に改善していた.以後,54日目のCTでは十二指腸の拡張はなく,壁内血腫も消失しており,退院後の消化管症状や後遺症はみられていない
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