発行日 2006年2月1日
Published Date 2006/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2006151912
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9歳,女児.悪心,嘔吐,上腹部鈍痛を主訴とした.2日前に遊具から落下し,腹部を強打していた.入院時,腹部CTにて十二指腸壁内血腫とこれに伴う内腔狭窄を認めた.検査にて白血球数と血清AMY値の上昇を認めた.さらに腹部CTにて右後腹膜腔,Morison窩に液体貯留を認めた.十二指腸壁内血腫と診断したが十二指腸内腔は通過障害のみと考えられた.入院後直ちに絶飲食とし,gabexate mesilate,ulinastatin,cefotiam,carbazochrome sodium sulfonate,tranexamic acidを投与した.症状は速やかに軽減し,翌日より血清AMYと白血球数が低下していった.その後貧血が進行したが徐々に回復していった.腹部症状は消失し排ガスを認めたため,入院5日目より水分摂取を開始した.入院10日目の腹部CTでは血腫がやや縮小し,右後腹膜Morison窩の液体は消失していたため翌日より食事摂取を開始した.入院19日目のCTにて胃拡張を認めたが血腫は僅かとなっていた.その2日後に退院となり約1年後のCTにて血腫は認めなかった
©Nankodo Co., Ltd., 2006