発行日 2003年3月1日
Published Date 2003/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2003200999
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47歳女.右下腹部痛を主訴とした.糖尿病,高血圧症の既往があった.腹部CT及び超音波にて右下腹部に腫瘤を認め,手術を施行した.臍部より3cm尾側から恥骨上縁にかけて5.0×2.0cmの暗赤色,弾性軟な腫瘍を認めた.腹痛の原因は腹直筋血腫によるものと判断し,腹直筋鞘内にPenroseドレーンを留置した.術後縫合糸膿瘍を認め,掻爬術を施行した.術後経過はおおむね良好で,退院となった.自験例は腹筋運動が直接の原因であるが,糖尿病による動脈壁の脆弱化や高血圧症も発症の誘因であったと推測された.非外傷性腹直筋血腫は比較的稀な疾患であり,急性腹症の鑑別疾患として本症を念頭に置くことが重要であると考えられた
©Nankodo Co., Ltd., 2003