発行日 2006年6月1日
Published Date 2006/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2006203167
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31歳男.27歳時より日本酒を毎日5~10合摂取しており,アルコール性膵炎と診断されていた.1ヵ月前,下血,上腹部痛が出現し,出血源は不明であったが,軽快した.しかし,再び,下血,上腹部痛が出現した.上部内視鏡検査で十二指腸Vater乳頭からの出血を認めた.腹部CTでは膵尾部に嚢胞を認め,造影剤で嚢胞壁は造影された.腹部血管造影では,脾動脈の上極枝より下方へ突出するextravasationが動脈相の早期から中期にかけて出現し,仮性動脈瘤と考えられた.その部位は,CTで認められた膵尾部嚢胞に一致した.膵尾側切除術,脾臓合併切除術を行った.摘出標本では,膵尾部に嚢胞を認め,割面は主膵管内への出血,及び嚢胞内部への出血を認めた.病理組織像では,膵管内へ集簇した赤血球,及び変性した蛋白を認め,膵管壁は全層性に肥厚しており,仮性膵嚢胞に出血したhemosuccu pancreaticusと診断した.術後合併症はなく,10ヵ月が経過したが,再発は認められない
©Nankodo Co., Ltd., 2006