発行日 2010年8月1日
Published Date 2010/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2010313481
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70歳代男性。患者はアルコール性慢性膵炎で近医にて通院治療中であったが、高度貧血を指摘され、著者らの施設へ紹介となった。所見ではHbは4.5g/dlと高度貧血が認められ、便潜血陽性であった。また、上・下部内視鏡では出血源は認められなかったが、造影CTでは膵尾部に2cm大の膵仮性嚢胞とその内部に6mm大の脾動脈瘤がみられ、3-D CT血管構築像では膵尾部に6mm大の脾動脈瘤が確認された。膵仮性嚢胞内の仮性動脈瘤からの膵管を経由した出血と判断し、輸血にて貧血、再出血の改善後、腹腔鏡下膵尾脾切除術が行われた。その結果、摘出標本では膵尾部に嚢胞がみられ、内部には出血が認められた。一方、病理所見では出血、肉芽組織形成、線維組織の増生がみられ、膵仮性嚢胞であった。術後は経過良好で、術後6日目にはドレーンが抜去され、患者は22日目に退院となった。目下、術後8ヵ月経過で再発は認められていない。
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