発行日 2006年6月1日
Published Date 2006/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2006203166
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36歳女.検診の便潜血反応陽性で直腸子宮内膜症が発見された.注腸検査では,直腸Rs前壁に,約3cmの陰影欠如像とそれに伴う狭窄所見を認めた.粘膜の不整は軽度であった.大腸内視鏡検査は2回行い,初回(最終月経開始日より16日目)は肛門縁から10cmの直腸に,管腔の半周を占める隆起性病変を認めた.表面は不整であった.2回目(最終月経開始日より6日目)は狭窄所見の軽度増強を認めたが,明らかな粘膜面の変化はなかった.腹部CTでは上部直腸前壁の肥厚を認めた.開腹すると子宮後壁と直腸前壁は炎症性に強固に癒着しており,子宮壁を一部切除して直腸前方切除を行った.術中迅速病理検査では悪性所見はなかった.摘出した病変部は肥厚し,粘膜面に約3cmの中心潰瘍を認めた.又,子宮内膜組織は直腸の漿膜側から浸潤して粘膜下層に達し,病変の内膜組織は出血性の間質成分と内膜腺管成分から成っていた.術後は順調に経過した
©Nankodo Co., Ltd., 2006