発行日 2004年12月1日
Published Date 2004/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2005036514
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39歳男.背部痛が出現し,膵尾部に3cm大の単胞性嚢胞性病変を指摘された.数日で症状は消退したが,1ヵ月後に背部痛が再燃した.CTで膵尾部の嚢胞は脾臓に接し,脾内および被膜下に低吸収帯を認めた.MRIでは脾臓の上極,脾門部および下極より尾側に10cmにわたって高信号域を認めた.動脈造影で嚢胞壁に新生血管,壁濃染像は認めなかった.脾動脈は開存していたが,脾静脈は描出されず,右胃大網静脈が拡張し側副血行路の発達を認めた.膵嚢胞の脾穿破と診断し,手術を施行した.膵体尾部切除と脾臓摘出を行い,膵尾部実質内に割面23×25mmの嚢胞形成を認め,壊死様物質がみられた.膵周囲組織と脾は線維性に強く癒着しており,脾被膜直下に割面42×10mmの嚢胞形成を認めた.組織学的には肉芽組織と結合織,炎症細胞浸潤による偽嚢胞であった.脾被膜は膵嚢胞と接しており,一部に断裂を認めた.術後経過良好で,1年後も再発はない
©Nankodo Co., Ltd., 2004