臨床経験
縦隔内膵仮性嚢胞による膵性胸水
笹嶋 素子
1
,
河合 秀樹
,
鈴木 洋平
,
齋藤 芳太郎
,
衛藤 武
1秋田赤十字病院 呼吸器外科
キーワード:
胸水
,
縦隔疾患
,
膵偽嚢胞
,
治療的洗浄
,
胸腔ドレナージ
,
Pancreatic Alpha-Amylases
,
胸部CT
,
内視鏡的経鼻的膵管ドレナージ
,
腹部CT
Keyword:
Therapeutic Irrigation
,
Mediastinal Diseases
,
Pancreatic Pseudocyst
,
Pleural Effusion
,
Pancreatic alpha-Amylases
pp.426-429
発行日 2017年6月1日
Published Date 2017/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2017264348
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症例は72歳男性で、4年前に重症急性膵炎で入院加療した。1年前にも急性膵炎、6ヵ月前にも慢性膵炎が急性増悪し、CTでは膵臓から大動脈前面まで連続する膵仮性嚢胞を認めた。胸腹部造影thin slice CTでは、膵頭部の主膵管から膵背側に連続する蛇行した膵仮性嚢胞と内瘻を認めた。右胸腔内には厚い壁に囲まれた液体貯留を認め、胸膜炎または膿胸を疑った。第1病日、右大量胸水に対し胸腔ドレナージを行い、細胞診は陰性であった。スルバクタム/セフォペラゾンを開始し、第2病日よりメシル酸ガベキサートの投与を開始した。第5~12病日に胸腔内洗浄を行った。第9病日、内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)を施行し、造影で拡張した膵管、膵嚢胞を確認した。嚢胞内に内視鏡的経鼻膵管ドレナージ(ENPD)チューブを挿入した。第17病日、胸腹部造影CTで嚢胞の縮小を認め、ENPDチューブを抜去した。第32病日、全身状態が改善し、退院とした。3ヵ月後の現在、再発はない。
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