発行日 2012年1月1日
Published Date 2012/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2012214243
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39歳男。下腹部を打撲した1週間後より腹部膨満感、食欲不振が出現し、寛解を繰り返した。腹部CTで回盲弁近傍の小腸壁の浮腫状肥厚、内腔の狭小化、同部位よりの口側腸管の拡張を認め、腸閉塞と診断して絶飲食・補液のみでの治療を開始した。しかし、保存的治療無効のため手術施行となり、術中所見では回腸末端から口側約30cmの小腸に大網が強固に癒着し、同部位より肛門側へ10cmにわたり小腸の萎縮を認めた。癒着を剥離したところ萎縮小腸のもっとも口側に穿孔を認め、小腸切除を行った。病理組織学的所見で萎縮した小腸粘膜は剥脱し、表層に好中球を混じる無構造なフィブリンの付着を認めた。粘膜下層は肉芽組織化し、腸間膜に炎症細胞浸潤を認め、脂肪壊死や線維化を生じていた。術後経過は順調で、腸閉塞症状の出現は認めていない。
©Nankodo Co., Ltd., 2012