発行日 2005年11月1日
Published Date 2005/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2006063266
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
84歳女.下血を主訴とした.超音波検査,CT,ガストロ注腸にて異常所見は認めず,入院後下血は一時消失したが,突然腹痛が出現した.X線およびCTでfree airを認め,緊急手術を施行,Treitz靱帯より130cm,Bauhin弁より260cmにおける小腸に穿孔部を認め,小腸を部分切除した.部分切除された小腸を長軸切開すると,単発・全周性の大きさ70×55mmの隆起性腫瘍があった.表面凸凹で不整形潰瘍が形成されており,潰瘍中心部にpin hole,2mm大の穿孔部が存在していた.病理組織所見にて腫瘍組織は粘膜固有層から漿膜下組織まで全層性に存在し,結節・実質性で一塊となり,外側にリンパ濾胞の残存が認められた.腫瘍細胞は胞体に乏しく裸核様で,それらの核は円形から楕円形を呈する異型リンパ球からなっていた.本例は化学療法および放射線療法を望まず,術後1ヵ月で退院したが,術後8ヵ月で縦隔リンパ節再発を来し,術後9ヵ月で死亡した
©Nankodo Co., Ltd., 2005