発行日 2013年3月1日
Published Date 2013/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2013191400
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61歳男。下腹部痛と発熱を主訴とした。炎症反応の上昇がみられ、腹部CTで骨盤内正中に腫瘍性病変を認め、腫瘍と小腸が一部で連続していた。腹腔内腫瘍および腫瘍に感染が加わったことによる腹膜炎と診断して開腹手術を行ったところ、骨盤内に腸管外へ突出する腫瘍があり、腫瘍後面に穿孔所見を認めた。腫瘍周囲の癒着を剥離すると、腫瘍を含む腸管が遊離され、位置を確認するとTreitz靱帯から約50cmの部位の小腸であった。小腸部分切除術および腹腔内洗浄ドレナージ術を行った。病理組織検査で紡錘形腫瘍細胞を認め、壊死を伴いながら増殖し核分裂像も多く認めた。免疫染色ではC-kit、CD34の陽性のgastrointestinal stromal tumor(GIST)のパターンを示し、Ki67は多いところで30%程度の陽性率があった。腫瘍径7cm以上で壊死所見もあり、腫瘍穿孔による腹膜播種の可能性が高く、高リスクのGISTと診断した。術後補助化学療法は同意が得られず経過観察していたところ、術後5ヵ月に再発所見を認めた。
©Nankodo Co., Ltd., 2013