発行日 2016年4月1日
Published Date 2016/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2016316473
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70歳女性。腹痛が改善せず、救急外来を受診となった。入院時、汎発性腹膜炎を呈していたが、体表リンパ節は触知されなかった。腹部骨盤造影CTでは上腹部優位の遊離ガス、膵頭部~十二指腸の腫瘤、大動脈周囲リンパ節腫大を認め、腫瘍の上腸間膜動脈への浸潤が認められた。また、右肺に結節を認め、転移と判断したが、縦隔リンパ節腫大、肝臓や膵臓には腫瘤は認められなかった。一方、上部消化管内視鏡では十二指腸下行脚に巨大な潰瘍が認められ、同部位の生検により膵頭部~十二指腸の腫瘍穿孔と診断された。以後、緊急手術となったが、腫瘍は上間膜動脈に浸潤しており、切除不能と判断、腹腔内には大量の汚染腹水があり、十二指腸下行脚外側には穿孔部位を認め、結節縫合して閉鎖した。免疫染色ではCD20陽性、CD3陰性で、診断はびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL)であった。術後は2日目に再穿孔を来したが、ドレナージにて改善、術後96日目のドレーン抜去後は膵頭部~十二指腸の悪性リンパ腫にR-CHOP療法+放射線療法を施行した。腫瘍は縮小傾向にあったが、術後143日目に十二指腸下行脚外側に腹腔内膿瘍を発症、経皮的ドレナージを施行し、化学放射線療法は中止とした。だが、術後303日目に呼吸状態が悪化し、患者は翌日、死亡となった。尚、剖検所見ではDLBCLは消失し、ミイラ化した腫瘍細胞塊が残存した状態であった。
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