発行日 2016年5月1日
Published Date 2016/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2016298064
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70歳女性。関節リウマチに対するmethotrexate(MTX)治療中であった。今回、嘔吐と腹痛が出現し、翌日には腹痛の増強を認めたため、著者らの施設へ救急搬送となった。腹部CTでは肝表面ならびにDouglas窩を中心に腹水貯留が認められた。エコー下に肝表面の腹水穿刺を施行したところ、混濁した黄色腹水がみられ、細菌塗抹検査でGram陰性桿菌が検出された。以上より、本症例は消化管穿孔による汎発性腹膜炎と診断され、緊急開腹手術が施行された。開腹所見では上腹部に腸管の癒着ならびに盲腸から横行結腸中央まで著明な腸管拡張が認められた。また、回腸末端より約8cmに腸管穿孔が確認されたため、拡張した腸管を含め右結腸切除術を施行後、回腸横行結腸を後壁のみ吻合し、右下腹部に双孔式人工肛門を造設した。その結果、病理組織学的に悪性リンパ腫による回腸穿孔で、術後は重篤な合併症なく、第41病日目に自宅退院となった。尚、術後はMTXを中止し、9ヵ月後に人工肛門を閉鎖した。術後1年経過現在、MTXを中止した状態で経過観察中であるが、再燃は認められていない。
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