発行日 2013年9月1日
Published Date 2013/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2013373071
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60歳男性。腹部膨満感を主訴に近医を受診、原因不明の大量腹水がみられ、著者らの施設へ受診となった。入院中、小腸壁肥厚および縦隔や頸部リンパ節の腫大が認められたためTリンパ腫と診断され、化学療法を予定していたが、前日に激しい腹痛の訴えにより消化管穿孔が疑われ、腹水フローサイトメトリーにて核腫大、核縁不整、核分葉を認める異常細胞が認められた。一方、消化管は一塊となり、free airを認め、ショック状態であったため、緊急手術が施行された。開腹所見では混濁した多量の腹水がみられ、小腸が一塊となり穿孔部位を特定できなかったほか、腹膜播種も多数認められたためドレナージ術のみ施行して閉腹した。その結果、患者は術後、ショック状態から離脱できず、翌朝に死亡となった。尚、切除標本所見において小腸は壁全体に壊死に陥っており、特に粘膜は潰瘍形成で完全に脱落していた。また、粘膜下組織にはCD3、CD8、NCAM陽性のT細胞性のリンパ腫細胞が散見された。
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