発行日 2005年6月1日
Published Date 2005/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2006003419
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56歳男.下血および肛門痛を主訴とした.下部消化管内視鏡にて肛門管直上の直腸下部に易出血性の2型腫瘍を認め,生検で未分化癌と病理診断された.以上より進行直腸癌と診断,手術所見にてリンパ節転移を顕著に認め,大動脈周囲リンパ節の廓清を伴う腹会陰式直腸切断術(D4)を行い,さらに両側閉鎖リンパ節廓清を追加した.病理組織像上クロマチンに富む小型の未分化な異型細胞がシート状ないし胞巣状に配列しており,小細胞癌(内分泌細胞癌)の所見であった.さらに免疫組織学的検索にてCAM5.2染色陽性およびクロモグラニンA染色陽性を呈したことから,神経内分泌細胞癌と診断された.術後3週目からfluorouracil,leucovorin,cisplatinからなる補助化学療法を3クール施行したが,術後4ヵ月程で右腎転移,左副腎転移,肝転移,さらに大動脈周囲リンパ節再発が明らかとなり,さらにその2ヵ月には大腿骨転移と肺転移をきたし,最終的に術後7ヵ月余で腫瘍死した
©Nankodo Co., Ltd., 2005