発行日 2005年6月1日
Published Date 2005/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2006003416
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70歳女.胸部下部食道癌に対し,右開胸開腹,食道亜全摘,胸骨後食道胃管吻合術の既往歴があった.術後7年目に咳,発熱が出現,血液検査で肝機能障害を,胸部単純X線で心拡大と胸水貯留を認めた.胸部超音波検査では多量の心嚢水を認め,緊急に心嚢穿刺およびドレナージを施行,心嚢水の細胞診はclass Vの扁平上皮癌で,食道癌の心膜転移による癌性心膜炎と診断した.シスプラチン(CDDP)25mgの2度の心嚢内投与,さらに心嚢および気管分岐部リンパ節を含む縦隔内へ放射線治療を合計44Gy行い,その後順調な経過とともに画像上の改善も認めた.しかし3ヵ月経過後の胸部造影CTにて多発性肺転移と気管分岐部リンパ節の再度腫大および胸水貯留を認め,FP療法を2クール施行,さらに3ヵ月経過後の胸部X線にて両肺に胸水を認め,胸腔穿刺を施行し排液した.胸水の細胞診はclass Vの扁平上皮癌であった.その後も胸水の排液により症状の改善を行っていたが,徐々に全身状態が悪化し,心膜転移発症後1年で死亡となった
©Nankodo Co., Ltd., 2005