発行日 2005年6月1日
Published Date 2005/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2006003415
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2002年7月~2003年6月までに,下大静脈腫瘍塞栓が肝静脈上あるいは右心房にまで達した腎腫瘍5例(全例男性,43~78歳)に対し,体外循環を用いた超低体温循環停止下腫瘍塞栓摘除術を合併した根治的腎摘除およびリンパ節郭清を施行した.体外循環時間は178~255分(平均211分),大動脈遮断時間は32~57分(平均44分),循環停止時間は平均35分であった.腫瘍が露出した後の血液は体外循環回路内に回収せず,吸引により廃棄したため,出血量は975~3980ml(平均2889ml)となった.現在までのところ5例中2例が生存中で,右心房内進展をきたしたmalignant cystic nephromaの症例を術後6ヵ月に,clear cell carcinomaの症例を術後25ヵ月に,また肝静脈上に進展した1例を術後13ヵ月に失った.右房,下大静脈内に腫瘍進展した腎腫瘍に対する超低体温循環停止法は,安全で有用な手段であったが,長期予後については今後も注意深い経過観察が必要と考えられた
©Nankodo Co., Ltd., 2005