特集 Onco-Cardiologyの新展開
治す 心臓・心膜腫瘍の診断と治療
大倉 裕二
1
1新潟県立がんセンター新潟病院 循環器内科
キーワード:
疫学
,
心臓腫瘍
,
心タンポナーデ
,
心膜液貯留
,
心膜炎
,
心膜炎-収縮性
,
粘液腫
,
予後
Keyword:
Cardiac Tamponade
,
Epidemiology
,
Heart Neoplasms
,
Myxoma
,
Pericarditis
,
Pericarditis, Constrictive
,
Pericardial Effusion
,
Prognosis
pp.142-150
発行日 2018年2月9日
Published Date 2018/2/9
DOI https://doi.org/10.18885/J03097.2018122107
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心エコーで心臓に異常構造物を見つけたら、まず、病的意義のない胎生期遺残物および先天異常と区別する。次に、変性、血栓、疣腫の順に疑い、腫瘍を疑うのは最後である。原発性心臓腫瘍はまれなので滅多に遭遇しない。一方、転移性心臓腫瘍は少なくはなく、癌患者の剖検では10%程度に認める。転移のおよそ70%は心外膜に、30%は心筋に達している。多くは進行癌が背景にあり、CTで捉えた癌の広がりから診断できる。癌の心膜転移によるpericardial syndromesにはしばしば遭遇する。従来「癌性心膜炎」とよばれてきたが、心膜転移の多くは炎症所見に乏しい。心膜の病変が、急性および慢性心膜炎、心筋心膜炎、心嚢液貯留、収縮性心膜炎のいずれであるのか?癌によるのか否か?について検討する。癌によるpericardialsyndromesはしばしば心タンポナーデを引き起こすため、心嚢液の留まる速さと心不全に注意する。本稿では、はじめに、原発性心臓腫瘍とその代表格である粘液腫について記す。次に、転移性心臓腫瘍について記すが、特に、頻度の高い、癌の心膜転移によるpericardial syndromesの鑑別について述べる。最後に癌性心タンポナーデについて自験例を述べ、心膜ドレナージが「その場しのぎ」の応急処置から、「次の治療を開始する起点」となる戦略的処置に変わりつつあることを報告する。
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