発行日 2006年6月1日
Published Date 2006/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2006313885
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- サイト内被引用
74歳男.患者は右肺癌の診断で右上葉切除+上縦隔郭清が施行され,病理組織検査では低分化腺癌,IV期であった.術後は化学療法を行って比較的良好に経過していたが,10ヵ月後,全身倦怠感を来し,呼吸困難により緊急受診となった.胸部X線では著明な心拡大を認め,CTでは心タンポナーデと診断された.心嚢穿刺・ドレナージ術を施行し,血性心嚢液を吸引したところ,脈拍は82/分に低下し,呼吸苦は消失した.心嚢液細胞診はclass V腺癌であったため,肺癌の心膜転移による癌性心膜炎と考えられた.Cisplatin心嚢内投与を開始したが,心嚢排液量は100ml/日以上が継続した.患者が早期退院を希望したため,インフォームド・コンセントの上,胸腔鏡下心膜開窓術を行ったところ,術後の病理検査で心膜に癌細胞の転移・増殖を認めた.しかし術後経過良好で,化学療法を行い,術後17日目には退院となった.尚,退院時はドレーンフリーであり,心エコー上で心タンポナーデは消失していた
©Nankodo Co., Ltd., 2006