発行日 2005年5月1日
Published Date 2005/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2005191722
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76歳女.餅による食餌性イレウスにて小腸切除術が施行され,その後腹壁瘢痕ヘルニアをきたし,メッシュを用いた根治術がなされていた.今回,暴漢に包丁で腹部を刺され搬送された.腹部にはメッシュを留置した正中創直上に10cmの刺創を認め,腹部CTでは刺創周囲の脂肪織の混濁を認めたが,腹水や腹腔内遊離ガスは認められなかった.刺創よりガストログラフィンを注入したところ,腹腔内への造影剤の広がりが認められ,腹膜穿通が確認された.全身麻酔下に検創し,メッシュの一部は包丁で完全に離断されており,メッシュの受傷部をトリミングして再縫合し,腹壁を再建した.術後の全身状態は良好であったが,術後早期より激しい目まいを訴え,精査にて右側頭骨骨折による外リンパ瘻と診断された.受傷後11ヵ月に遅発性メッシュ感染を来たし,メッシュ除去術を施行した.その結果,腹壁瘢痕ヘルニアは現在再発した状態である
©Nankodo Co., Ltd., 2005