発行日 2005年5月1日
Published Date 2005/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2005191721
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
65歳男.主訴は吐血.上部消化管内視鏡検査にて胃噴門部から胃体上部小彎側に易出血性で潰瘍を伴った隆起性病変を認め,生検にて低分化型扁平上皮癌と診断された.腹部食道に低隆起性病変を認め,又,食道内Lugol散布にてut,mt,ltに多発した不染帯があり,同分位生検で中分化型扁平上皮癌と診断された.以上より,胃,食道扁平上皮癌の診断で,腹部食道切除,胃全摘,膵体尾部,脾合併切除を行った.リンパ節は8pを術中転移陽性と診断したが,郭清は施行しなかった.摘出標本では,胃噴門部から胃体上部小彎側に径8.5×7.0cmの2型腫瘍を認めた.割面で腫瘍の食道への浸潤は明らかではなかった.病理組織学的には右側に既存の胃粘膜がみられ,その左側に腫瘍が存在していた.腫瘍細胞は角化および細胞間橋様の構造を呈しながら増殖していた.術後,食道癌に対し放射線治療,化学療法を施行したが,著明な汎血球減少が出現したため中断し,術後5ヵ月で多発肝転移を認め,術後8ヵ月に癌死した
©Nankodo Co., Ltd., 2005