発行日 2007年11月1日
Published Date 2007/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2008098649
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87歳男。患者はバイク事故で救急搬送された。所見では下腹部が膨隆し、圧痛および反跳痛を認めたが、筋性防御はなかった。血液検査ではWBCの軽度増加、アミラーゼの上昇がみられ、腹部CTでは腹直筋の不連続と、そこから皮下に脱出する腸管が認められた。また、左腸腰筋部には血腫を認め、膵損傷は明らかでなく、その他の臓器損傷、骨折も確認されなかった。以上より、本症例は外傷性腹壁ヘルニア、腸腰筋血腫、膵挫傷を疑い、緊急手術が施行されたが、膨隆部直上で開腹すると、横方向に2/3程度、断裂した腹直筋から小腸が大量に脱出し、脱出した腸は1ヶ所完全断裂していた。ヘルニア門は大きかったが、汚染創であるためメッシュは使用せず、腹壁を直接縫合した。合併損傷の程度が比較的重度で、呼吸器合併症の併発もあり、術後は集中管理を必要とした。尚、患者は高齢であったこともあり回復が遅れたが、術後72日目に自力歩行で退院となった。
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