発行日 2009年12月1日
Published Date 2009/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2010089976
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症例1:59歳女。左下腿外側痛を主訴とした。単純X線で左前仙骨孔の拡大を伴う骨溶解増を認め、MRIでは仙骨のS1レベルに類円形状で仙骨前面に広がるようなT1強調像で筋肉より低信号、T2強調像で不均一に高信号の腫瘍を認めた。PET-CTでは仙骨左側から腹側に異常集積を認めた。大腸癌の仙骨浸潤を疑い下部内視鏡を施行したが腫瘍は観察されず、後方から切開生検を施行したところ、類円形~紡錘型細胞の増殖を認めた。腫瘍細胞では核分裂や細胞の異形成や多形成は目立たず、S100などの免疫染色学的検索の結果、神経鞘腫と病理診断された。症例2:55歳女。右足部外側の痺れ主訴とした。単純X線で右前仙骨孔に一致して骨溶解像を認め、MRIでは仙骨のS1以下にT1強調像で低信号、T2強調像で低信号と高信号が混在する不均一な信号像があり、仙骨前面にも腫瘍の突出を認めた。PET-CTでも仙骨右側から腹側に異常集積を認めた。既往歴にある肺癌や乳癌の仙骨転移を疑い後方から切開生検を施行したところ、腫瘍は異形成のない紡錘型腫瘍の増殖から構成されており、神経鞘腫と病理診断された。2例とも軽い放散痛程度であったため定期的な画像での経過観察を行うこととし、現在、両例とも腫瘍サイズの増大は認めていない。
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