発行日 2004年12月1日
Published Date 2004/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2005036513
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
64歳女.上腹部不快感が出現し,超音波で肝左葉体表寄りに8×5cmの境界明瞭,内部不均一な低エコーの腫瘍を認めた.CTでは多結節性で境界明瞭な低吸収腫瘍を認め,造影CTで早期相から晩期相にかけて徐々に造影効果が増強された.MRIではT1強調像で低信号,T2強調像で高信号を示した.血管造影で中肝動脈の拡張と,これより分枝し前方腹壁寄りを下行する螺旋状に拡張した血管を認めた.腫瘍濃染は中等度で,ほぼ均一であった.手術所見で,腫瘍は内側区に埋没し,肝実質に入り込んでいた.肝鎌状靱帯および大網に被覆され,これらからの栄養血管も認めた.肝原発性腫瘍を否定できず,腫瘍周囲2cmの肝実質を合併切除し,肝鎌状靱帯も切離して腫瘍を摘出した.腫瘍は9.5×7.5×5.5cm,300gで,病理組織学的に長紡錘形細胞が複雑に錯綜し,核分裂像に富む部分を認めた.免疫組織学的にはアクチン・デスミン陽性で,肝組織との連続性はなかった.術後経過良好で,5年8ヵ月後も再発徴候はない
©Nankodo Co., Ltd., 2004