発行日 2004年12月1日
Published Date 2004/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2005036515
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56歳女.3年前より肛門部の圧迫感があり,肛門周囲膿瘍の診断で切開排膿術,seton手術を受けたが,再燃を繰り返した.骨盤CTで直腸左側,仙骨前面に最大径5cmの腫瘤を認め,石灰化や骨破壊像はなかった.MRIでは直腸と尾骨先端との間に直腸壁および肛門挙筋と接した嚢胞性腫瘤を認め,T1強調像では膀胱内容より僅かに高信号の内容物を認めた.仙骨前嚢胞と診断し,仙骨尾骨傍切開で尾骨を切除して腫瘤に至った.肛門挙筋内に筋組織との強度の癒着を呈した境界不明瞭な嚢胞性腫瘤を認め,完全摘出した.腫瘤は6.5×5.5cmで単胞性嚢胞であった.病理組織所見で,嚢胞壁は線維性の組織から成り,嚢胞内腔上皮は一部剥離していた.内層上皮は扁平上皮に円柱上皮が混在していたが,皮膚附属器,筋層,漿膜構造はなかった.術後経過順調で,肛門機能にも問題はなかった
©Nankodo Co., Ltd., 2004